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第24話
「…」
「…」
薄暗い、寮内、兄の部屋で。
兄は、勉強机にお茶を置いて、その椅子に腰掛け、勉強をしている。
俺は、うとうと、と、ベッドに座って、眠りそうになっている。
「…、」
はっ、となって起きても、兄の姿が、すぐ視界に入るから、あぁ、大丈夫だ、って、また、瞼を閉じる。
「……」
脳裏で、映像が映し出される。
浅い夢、目が寝ていて、脳は、起きている状態。
「……」
脳を持たない怪獣が暴れ回っている。
怪獣は、暴れている意識はない。
細胞が、喧嘩して、ただ、俺には、そう見えるだけ。
だって、脳がないから、頭がないから、怪獣には、そこがどこなのか、自分が何をしているのか、理解する事が出来ないのだ。
それを見て、俺は、泣いた。
進化は、希望だったから。
光り輝いて見える、宝物のような、生き甲斐が、こんな有様に変化するなんて、なんて酷な。
「……」
でも平気。
自然は、まだ生きているから。
呪物が誕生しただけ。
よくあるじゃん。
日本には、化物の仮説、都市伝説。
それが、実現できただけだよ。
「……」
お化けだって、幽霊だって、もう、居るんでしょ?
「歩人、そろそろ起きなよ。お風呂、入れてあるから」
起きた。
目が覚めたら、俺は、ベッドの上で横になっていた。
薄目で光の方へ黒目を向けると、兄が、微笑んで俺の顔を見下げていた。
「……、」
瞬きをして、頭を正気に戻す。
夢を見ている間の俺は、未来予想でもしているだろうか。
知らないけど、泣けた。
普段は、我慢するけど、俺は、確かに泣いていた。
感情は、揺れ動いていた。
今も、その残りのざわつきが、少し感じ取れる。
「本当に、ご飯。食べなくて良いの?」
「…、あんまお腹空いてない」
「食堂ならまだ会いてる時間だと思うけど」
「…面倒臭い」
「…」
夢の正体は、機嫌から来る物だと思っていた。
暴力的な思考を抑える為になる、自然の贈り物のような。
死ぬな。って、ずっと、誰かには言ってもらえている証。
情緒の整理、愛する心を育む教育のような。
「……」
人が、ピラミッドの頂点に居る事が、永遠に、続きますように。
そんな風に願ってしまう。
悪い事ではない。
「…ふぅ、……」
なんか、美智留の言っていた事を思い出した。
この夢見が悪かったのは、きっと、その|所為《せい》だ。
次、会った時には、蹴りで挨拶しよう。
それが良い。
「お風呂入る」
兄には、そう伝えて、ベッドから腰を上げた。
着替えは、兄の使っている部屋着だ。
「ん。これ、着ていいよ」
「ん。ありがと」
「ん」
「ん」
どれもこれも、少し、サイズは、小さく感じるのだけれど、入らない事はない。
だから、借りれる。
兄弟、似た体格だと、為になる瞬間も、あるんだなぁって、思ったり。
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