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第30話

人間は、生物界の頂点に居る。 その内訳は、他の生物を追い越した訳は、卓越した思考力、だけだと思う。 腕力には乏しい。だから、飛び道具が今は一番、強い暴力だ。 しかし、その権力を持っているのは、限られた人のみである。 その、限られた人とは、所謂、正義と呼ばれている人の事なのだろう。 「……」 俺は、その正義の人に、どのように扱われているのか。 実際、その手のものを持った人とも、あまり、親しくない。 頼りどころは、そこだと理解しているつもりだけれど、それでも、難しい時がある。 その瞬間に、その人達からは、危惧されて、いつか、バン、と打たれてしまう事も、まぁ、想像の範囲内にある。 「……ふ」 それが現実にならなければ、俺は、その人達と、上手く付き合えていると言うお話なんだろうけれど。 今日生きて、明日も生きる。なんて、細々考える事が、そもそも、敵の多さを物語ってると言う事だろうな。 「……」 授業は、始まっている。 もう、学力テストは、やりきった。 点数は、低かった。 好きな教科で、六十点ぐらい。 予想した通りの点数だった。 「……」 先生の説明を聞きながら、俺の目は、時折、美智留を見る。 水色の髪。肌の白さ。 イメージするなら、ソーダ水のような。 まあ、それは、それとして、今日の放課後。 また、誘ってくれないかな。とか。 相手が兄なら、俺から、迷わず、声を掛けるのだけれど。 美智留との仲は、まだ、そこまでの距離にも縮められていない。 ただ、俺が、一人、気にしてしまっているだけで、美智留は、今も、通常運転なのだろう。 こちらには、一度も目をくれない。 「……」 何だか、面倒臭くて、つい、上を向いて、ため息を吐き出す。 天井には、別に、これと言って気になるものはない。 強いて言うなれば、模様というか、傷?もにょもにょした黒いヒジキみたいなのがいっぱいあって、なんか、見てたら気色悪くなってくると言うか、何でこんな柄にしたの?って、製作者の心理が気になるような、気にならないような。 「……」 俺もなんか書きたい。 天井に落書きがしたい。 どうすれば出来るかな。 脚立では届かないな。多分。 それに立つのも有りだけれど、そうすれば、少しの揺れで俺は、体のバランスを崩して倒れてしまうだろうな。 こう言う事を仕事にしている人は、凄いな。 倒れたりしないのかな。 鍛えてるから平気なのかな。 分からないけど。 俺に、天井に落書きする技術というものは、無い。と言うことか。 そうか。 「神田。どこ見てんだ?お前」 「、わ。ビックリした。」 黒板前に立っていた先生が、いつの間にか、俺の席の近くに立っていて、眉間に皺を寄せて、俺を見ていた。 「天井には、何も書いてないだろ。黒板を見ろ。」 そして、怒られてしまった。 確かに。 わざわざ黒いヒジキの事を考える暇があるなら、黒板の白いヒジキを見ておく方が為になる。 文字として、人々に伝わった絵なのだから、一人がそんなに辛いなら、誰もが理解できるそれを読んで覚える方が、孤独を忘れられるはず。 「…すいません」 俺は、素直に謝り、椅子に座っている体をしゃんとして、途中まで書いていたノートへと、黒板に書かれている六限目の授業の説明を写していく。 シャープペンシルで、カツカツと。 「……」 美智留なら、このペンシルを見ても、俺達は、愛されてるって、言うだろうな。 誘ってくれないかな。 遊びたいな。 いや、今は、勉強に集中しよう。 「はぁ。」 と、ため息を吐いて心情を安定させて、続けられた先生の、発した言葉を耳で受け取り、その内容を教科書と照らし合わせて、理解する。 そういう暇つぶしで、この一時間を終わらせた。

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