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人間ごっこ。
シエルの言うそれがどういうものなのか、その言葉だけではよく分からなかった。
ただ、あまりに子どもじみた言い方をしてくるから、きっと馬鹿にされているんだと思った。
「なんだよ、それ。ふざけてるのか?」
さっきまでのようにニヤけているわけではないけれど、なんとも言えない不気味な笑みを浮かべているシエル。
そして蒼い瞳は俺だけを映したまま、底知れない熱を孕んでいて。俺はつい動きを止めてしまう。
「ふざけてないよ? 愛し合うことはオレたちには出来ないかもしれないけど……真似事なら出来るってこと。だからオレが、それを手伝ってあげるよ」
距離が、詰まる。
近づいてくるシエルの影に、なぜか胸の奥が妙にざわついた。
理由のわからない胸騒ぎに動けずにいる間に、シエルの手が俺の腰に回されて、頬にはもう片方の手を添えられる。
「っ、!! や、やめっ……」
びくりと身体が反応して、それは嫌悪感からくるものだと思った。けど。
「全然……嫌そうに見えない……」
拒絶しきれない。
こいつのことなんて、ほとんど何も知らないのに。
俺は、なにかを……この天使に求めているんだろうか。
そのままシエルは強引に、唇を押し付けるみたいに重ねてきた。
力強くされたキスなのに、シエルのそこはやわらかくて、ずっと触れていたくなるような感触で。
「んっ……!」
唇から、ピリッと電流のような刺激が全身に広がる。
天使の聖気は、悪魔にとっては毒のようなものだ。
このままじゃ、俺は壊されてしまう。はやく、やめさせないと。
頭ではそう思っているのに、身体はそれを実行できない。
「ああ……きっついね、ルカくん……でもきっと、少しの間だから……」
シエルも、苦しそうな表情をしている。
悪魔と触れ合うことは、天使にとっても良くないことがあるんだろうか。
それなら尚更……人間ごっこなんてくだらないこと、やめるべきだ。
「嫌だったら……言ってよね」
そう言ってシエルは、俺の纏っているものの中に手を入れて、胸の辺りに触れてくる。
「いっ……」
嫌だと、言いたい。はずなのに、俺はこいつを受け入れようとしてしまう。
シエルが俺の腰をグッと抱き寄せると、そのまま胸元に触れていたその細い指先が、熱をもった下腹部を滑っていく。
そして脚の付け根から――その一番深い場所を、服越しに包み込むような手つきで撫でられる。
「ん、う……っ」
触れられた場所から、キスをされたときのようなピリピリとした痛みが走る。
その痛みと共に、俺のそこはじわじわと熱をため込んでいく。
「ここ、触るね?」
妖しさを纏う表情で、やさしく、低い声で囁かれる。
もし直接触れられたら、きっと痛みはさっきよりも強くなるのだろう。
それでも俺には、もうその手を止めることは出来なかった。
その手で触れられたいという気持ちを、認めてしまいそうになっていたんだ。
無抵抗な俺を見て、シエルは中へと手を伸ばす。
主張をはじめていた俺のそこへシエルが触れた瞬間、びくりと背筋が跳ね上がり、声があふれ出てしまう。
俺はすぐに立っていられなくなって、ずるずると脚を崩し、シエルに身体を預けた。
「っ……ルカ、くん……」
欲のようなものを滲ませた、純粋に見える瞳。
シエルは……俺とこういうことをしたいと、本気で思っているんだろうか。
なら、それを拒もうとしない俺は……。
身体を預けた先で、シエルのかたくなったものが脚にあたる。
シエルのそこは聖気が濃くて、布越しで接しただけでも脚が動かなくなりそうだった。
それを察してか、俺が朗読台に寄り掛かれるように、その場へそっと身体を下ろされる。
かつては神の言葉が紡がれてきたはずの、古びた朗読台。そこへ俺が触れたとき、ひんやりと湿った木材の温度が、熱を持った肌に伝わってきた。
「これ、脱がせるよ、ルカくん……」
俺は何も答えなかった。
良いとも言えず、駄目とも言わない。ただ、シエルの手を振り払うこともしなかった。
シエルは俺の穿いていたものを丁寧に脱がせていく。そしてその下には、自分でも見たことがないくらいに立ち上がった、俺のそれがあった。
「……ルカくんも、興奮してくれてるの?」
これを興奮と呼ぶものなのか、俺には分からない。
ただ、俺はこれから起こることを……“愛”を知ることを、期待してしまっているのかもしれない。
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