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第2話

「一緒に帰る?」 悠人にそう言われるたび、胸の奥がぎゅっとなる。 嬉しい。 でも、そのまま「うん」って言えない。 「……」 視線を上げると、悠人がこっちを見てる。 ちゃんと、俺を見てる。 なのに、言葉が出てこない。 「大輝も帰るよな?」 気づいたら、そう言っていた。 逃げるみたいに。 「おー。帰る帰る」 大輝は何も考えてなさそうに笑う。 助かる。正直、ほっとする。 三人で歩く帰り道。 悠人が話を振る。 「今日の英語、だるくなかった?」 答えようとして、口を開く。 でも、声が出ない。 ――変なこと言ったらどうしよう。 ――つまんないって思われたら。 黙ってしまう俺の横で、大輝が自然に返す。 「だよな。あの小テスト無理ゲー」 悠人が笑う。 その笑顔を見ると、胸が少しだけ痛くなる。 俺が話しても、ああいう顔、してくれない気がする。 悠人は優しい。 だから余計に分かる。 俺が話しにくいことも、空気を止めてしまうことも。 だったら、いっそ―― 話さない方がいい。 分かれ道。 「じゃあ俺こっちだから」 悠人がそう言って、背を向ける。 「またな」 大輝が手を振る。 俺も、小さく会釈した。 数歩歩いたところで、大輝が俺の方を見て言う。 「なあ、さっきの英語さ」 「あ、あれ……」 気を抜いた瞬間、言葉が出る。 大輝が笑う。 つられて、俺も笑ってしまう。 ――今の、悠人に見られたら嫌だな。 さっきより自然に話せてる自分が、なんだか裏切りみたいで。 悠人と話すとき、俺はずっと緊張してる。 好きだから。 それだけなのに。 ……でも。 悠人は俺の方を見てるとき、あんまり笑わない。 大輝と話すときみたいな顔、俺には向けてくれない。 やっぱり、そういうことなんだと思う。 どうせ、悠人は俺のことなんて好きじゃない。

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