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第5話愛玩宦官あれこれ
愛玩宦官ときいて多くが想像するのはまず、男女を超えたような美しく華奢な存在だろう。
このような存在から確かに愛玩宦官がまず生まれた。
たまたま初期の宦官にそういう存在がいた事が、【愛玩品】を作りたい、権力ある人間の欲望に火をつけた。
思春期以後の美しい少年、彼らを二次性徴が訪れると去勢して、愛玩宦官にする。
これだと少年の繊細さを残す理想的な美しい愛玩宦官がつくられやすい。
少年のソプラノを残せるとさらに高価、とされていた。
二次性徴前だと性的快楽を感じることが難しくなるため、精通した頃から去勢することが愛玩宦官としては良いとされていた。
ストイックな官服や官服に似せた服を着せ、その透明感のある美しさを見せびらかすのを持ち主たちは好んでいた。
竹のように少年のような美しい清廉な身体と、花のような少女のような顏。
連れ回し、見せつけ、夜毎愛玩するのが有力者達のステータスでもあった。
愛玩品であり貴重品であるため、宴で見せびらかすのは当然であり、帝の【本物】の愛玩宦官等は宝石のように見る者を感嘆させた。
後宮以外の、民間の愛玩宦官も帝の品を扱う業者がつくっていた。
去勢という危険な技術を確かに持つ者は限られていたからだ。
豪商や有力な貴族だけが持てる高級品だった。
帝のモノとなれば素材もそれなりの家柄からのモノ、とはいえ、愛玩宦官にしたことは秘密にはされる。
流石に名のある家なら子供を愛玩品にするのは名前に傷がつくからだ。
そこは隠されるが、だが、【良い家】の【何らかの事情】で素材は業者に連れて来られるのだ。
帝が使うのだから当然だ。
そうでない、民間用は、貧しい家の子供を幼い頃から愛玩宦官になるべく育てて、仕上げていく。
この、美しい少年のような姿を持ち続ける愛玩宦官は一番人気だが、他にはあえて成人前ギリギリまで育ててから去勢するタイプもある。
全て切り落とすのではなく、竿は残す、つまり睾丸だけを取り除く。
上手くやれば勃起も可能で、このタイプは勃起する身体を欲する、より男性的な愛玩宦官が欲しい人向けだ。
ただ不完全な去勢であるため、稀に妊娠させるリスクもあるため、後宮では絶対に置かない。
帝の愛玩宦官にはいないタイプである。
でもこのタイプはあまり人気はなかった。
安全のために、妊娠させない、単に性器を欠損させただけの男奴隷等、そこまで魅力的ではなかったからだ。
欲しいのは愛玩宦官。
完全にそこを切捨てられ、そのための道具として作られた存在。
その痕跡となったそこでさえ、いやらしい新しい性器として珍重されたのだった。
あえて大人を愛玩宦官として完全去勢することを望む有力者もいたが、やはり、少年から育成した愛玩宦官はその美しさ妖しさからも、多くの人間が持つことさえ出来たなら、と望む生きた宝石だった。
基本オーダーメイドで、望むように育成される。
淫らなタイプが好みなら、性技を仕込み、どんな欲望でも応えられるよう調教される。
歌や踊り等も注文通り。
後宮用なら最低限の教養は与えられる。
本当に最低限、少し字が読めるくらいだ。
愛玩品に教育を与えることは【危険】だという認識は愛玩宦官が作り出された、最初からあった。
歴史上始めての愛玩宦官、そう、偶然美しく生まれた宦官が帝の寵愛を受けて、権力を握りかけたという歴史からの反省だった。
寵妃が見つけて目をかけた美しい宦官を、帝が寵愛し、手放さなくなった。
美しくそして賢く、そして権力への欲望を持つその宦官は、帝を操り国が傾きかけたのだった。
内乱となり、帝は皇太子によって廃され、死ぬまでま幽閉。
宦官はその美しさを惜しまれながらも、だからこそ、肉体すら残さないように焼かれて川に流された。
決して【権力】を与えない。
徹底して【愛玩品】として扱う。
【人間としては見ない】
美しすぎるそれ故に危険な存在を、そうやってコントロールすることになっていたのだった。
少年が愛玩宦官となったのは、賢い正妻が歴史を知っていたからだろう。
妾の死体すら残さなかったのはそれを知っていたからだ。
少年を【モノ】になればその美しさが世界に与える害悪を止められるのではないか、と正妻は考えたのだ。
もちろん、帝のための愛玩宦官用素材として、売ることで得られる莫大な利益は、妾によって没落しかけた家の再興にこれ以上もなく必要だった。
が、【殺す】以外に【その子】とその子の与える【影響】から他人をも守るには、【帝の愛玩宦官】しかなかったのだ。
人を狂わす美貌。
それを持った危険な愛玩宦官。
帝の生きた宝石であり、夜のための玩具。
そうなるしかなかったのだ。
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