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第6話
6話 【現在】考え中
「うーん」
パカリとクローゼットを開けてみる。
私服に悩むなんて何年ぶりだろうか。
悩ませる原因は一つだ。リオットから私服でという要望があったからだ。
いつもの格好が楽なのは事実。しかしそれでは目立ってしまうし、騎士団の人間とわかってしまっては元も子もない。目立たないようにケーキ屋に入る。どうしたら……。
以前ヴァルドがアシェに、たくさん服を買い、微笑んでいたことを思い出す。
アシェはまるで着せ替え人形のように着せられていたが、どれも本当によく似合っていた。彼は悲惨な目に遭っていたが、今は幸せそうだ。そしてそれを見つめるヴァルドも。
ヴァルドはここ、第三騎士団で、大切なものを見つけたのだ。
「ルシアン先生ー!郵便が……」
「わあ」
アシェの声だった。溜まっていた郵便物を持ってきてくれたようだ。ノックの音が聞こえなかったな。小部屋から顔を覗かせてそのまま手招きをする。
「ごめんなさい。びっくりさせちゃった?」
「い、いや。ありがとう届けてくれて。その辺に置いておいてくれるかな」
アシェは郵便物を置いて、とことことこちらへとやってくる。
「ルシアン先生の部屋、初めてだ。入っていいの?」
「うん。……ちょっといいかい?君に、尋ねたいことがあるんだ」
「なあに?ルシアン先生!」
「どうしたらいいのかわからなくてね。よければ、一緒に見て欲しいんだ」
クローゼットに案内し、私服に悩んでいることを説明する。誰かに聞いてもらいたかったのだ。
「この中であまり目立たなくて……似合いそうなものがあれば教えて欲しい……。わ、わからなくなってしまって」
「うん!いっぱい探す!ルシアン先生、なんでも1人でできるから、頼ってもらえるの、嬉しいな。えへへ」
そんなことはない。買い被りすぎだよ。
アシェは楽しそうに、クローゼットの中からいくつか服を取り出している。その後ろ姿を見て思った。
もう、向き合ってみてもいいのかもしれないな、と――
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