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第10話

10話 1回目 「も、もういいだろ……?このくらいで……」 「仕方ないですね」 食器を片付け、戻ってきたリオットの許可を得られてほっと胸を撫で下ろすルシアンだ。 言うことを聞く件の一回目が無事に終わったようだ。無言でいられるのも調子が狂うが、こちらの羞恥を楽しんでいるような彼の視線には、思わず目を逸らしたくなってしまう。 「それで、あの団員たちはちゃんと生きているのかい?」 「……生きてますよ。ちゃんと調整して焼いたつもりです」 「そんなことができるのか……」 「殺すなってアンタが言うのが聞こえたので」 リオットはベッドサイドの椅子に腰を下ろして目を瞑る。きっとルシアンはリオットの身を案じて殺すなと叫んだだろうと考える。 しかしもし、手遅れだったら。想像もしたくないことが起こっていたとしたら―― もうストッパーなどどこにも存在しない。あの場で彼らは炭と化し灰となり、名簿から存在を抹消されていた。 そう、それは。何の問題もないことだ。 「……ずっと言おうと思っていたんですよ。アンタにはもっと、自分のことを大事にして欲しいって」 ルシアンは驚いた様子でこちらを見ている。そのまま金色の長い髪に指先で触れてみる。抵抗する様子もなく、されるがままだ。 「言うことを聞く件1回目使います。自分を大事にすること。何かあるなら俺を使うこと。いいですね?」 「……え?」 「わかりました?」 「わかったよ。約束する。しかしこれが1回目というのは……」 先ほどが1回目ではなかったのだろうか。困惑するルシアンだが話を遮るようにノックの音がする。 「大丈夫か?」 「ヴァルドさん!やっと目を覚ましましたよ」 リオットの部屋に入ってきたのは、真っ黒な隊服に身を包んだヴァルドだ。目を覚ましたと聞いて少し安心した様子を見せていた。 「良かった。半日以上眠っていたと聞いていたからな」 「そんなに……!?」 今更ながらそんなに眠っていたことに驚くルシアン。そこまで体力を消耗していたなんて。 「リオットに聞いたが、奴らは修復作業をせず最終的に作業小屋を放火しようとしていたらしいな。奴らを止めようとして魔力の使いすぎで倒れるなんてらしくないが……無事で良かった」 少し事実とは異なっているようだが、黙って話を聞くことにする。 「奴らは騎士の資格や地位を剥奪し、除名処分することにした。罪の重さに反発するかと思ったが、大人しく受け入れたようだ。もう二度と第三騎士団の土地を踏むことはないだろう。……しかし、リオットの名前を出したら怯えていたんだが、何かしたのか?」 ヴァルドは椅子に座っているリオットに疑問を投げかける。リオットは不思議そうに首を傾げる。 「なんでしょう?自分は手錠かけただけっすけどね」 蒼い炎に包まれて物言わぬ様子は、普段の彼の姿とかけ離れていた。彼らが怯えるのも無理はないだろう。 にこにこと微笑むリオットの様子をルシアンは黙って見つめるのであった。  

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