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第11話
11話 お休み
「目が覚めたのには安心したが、怪我や調子はどうなんだ?」
「怪我は問題ないよ。今は少し動けないけど、明日の朝には回復しているはずだよ」
ヴァルドの質問に自身の体調に照らし合わせて返答するルシアンだ。体内エネルギーの枯渇は、完全に戻らなくとも明日には歩けるようにはなるだろうという推測だ。
「そうか。……では1週間経ったら戻ってきてくれ。それまでここから出ることは禁止する。仕事も禁止だ。いいな。リオット、ルシアンのことを頼んだ。無茶はするなよ」
「了解っす!」
「ちょっと待ってよ。話を聞いていたかい?
明日の朝には復帰できるよ」
いわゆる1週間休暇ということだ。しかも自分の部屋にも戻れず、リオットの部屋から出てはいけないなんて。ザナックの件もしかり、他にも気になることがいくつもある。
「聞いていて、その判断だ。ゆっくり休んで後は任せておけ」
ヴァルドはそれだけ伝えると、部屋から出て行ってしまう。呆然と閉まるドアを見つめるルシアンだ。
「……1週間以内に“言うことを聞く件”たくさん消費できるといいっすね!」
「ズルいだろそんなの……っ」
1週間も彼に振り回されることになるなんて。
彼のペースに呑まれるのはごめんだ。
しかし、そうなるであろう未来の予感に小さくため息をつくのだった。
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「君は任務に出なくていいのかい?」
「はい。ヴァルドさんが調整してくれたので、今日は1日中ここにいるっす!」
1日中……。慣れない部屋に、2人きり。
仕事もできないし魔導書も読めない。
頼んだら持ってきてくれるのだろうか。
しかし今は何となくやめておく。
できることといえばベッドに横になったまま、彼の姿を睨むことくらいだ。感謝はしているが、恥ずかしい思いをさせられるのはこりごりなのだ。
「追い出そうとしないで欲しいっすねぇ!自分の部屋なので、ここ」
「わかっているよ。……しかし君はどうしてここまでするんだい?」
「……どうしてだか、考えてみたらどうっすか?」
じとりと視線を注ぐリオットだったが、椅子から立ち上がり、部屋を出て行ってしまった。考えろと言われても。室内が静かになり、ベッドの上で天井をぼんやりと眺める。
少しずつ仕事が円滑に回るようになってきたと言ったところでこれだ。ヴァルドの重荷になってしまっていないのだろうか。そんなことを考える。
それにしてもあの時の彼の蒼い炎。雰囲気は別人のようだったが、素直に格好良いと思った。
また見せてもらいたいが、今は聞き入れられないかもしれないな。
そう思っていると扉の開く音がする。部屋主が戻ってきたようだ。
「ヘアブラシ借りてきたっす!」
「……」
次に何をされるのか想像し、げんなりした表情を浮かべる。リオットはヘアブラシを置き、再びベッド脇の椅子に腰を下ろす。
「髪も魔法で綺麗にしておいたんですけどね。次起き上がれた時に使いましょう。寝てていいっすよ!何か欲しかったら言ってくださいね」
「寝ててって……」
ベッド脇の椅子に座ったままのリオット。近すぎる距離にどうにも落ち着かない。
「……あっちのソファーで本でも読んでいたらどうだい?」
「眠ったら移動しますよ」
眠るまでいるつもりだ、この男……っ!
できるだけ深く布団を被り、彼が飽きるか自分が眠るのをひたすら目を瞑って辛抱強く待つのであった。
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