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其の肆※
気まずい空気が流れて、どれ程時がだっただろうか。
「……」
不機嫌そうな顔で隣を歩く灰色は、たかや、と言うらしい。
幻とか貴重と言われる妖怪で、と言うよりもただの恥ずかしがり屋で表に出ないだけな気がするのは自分だけであろうか。
あの桃色に会いに来たのに、一人は嫌だともう一人に頼んだり、陰から羨ましそうに他の者を見ていたり。
現に今だって…
「ぁ、その…ぃゃ…」
「………」
明らかに声をかけようとしているが、俺が見た途端に目を反らすのだ。
「はぁ…」
先が思いやられる…。
××××
「あっ」
「ん?どうした」
丁度通りかかった桃色が話しかけてくる。
少し困ったことが…と眉をハの字に下げて見返す。
「最近食い口が増えた所為か米がもうない。悪いが、買いに行ってる間、家を頼む」
「あぁ、わかった。私も行こう」
「へ?いやいや、家を頼む」
「お前を一人にするのは危なすぎる」
この桃色はなにを抜かしているのだろうか?
今でこそ俺とその他三人いるが、前はお前と二人で、もっと言えば俺一人でいたんだぜ?
それを今日になって一人は危険だとか、片腹痛い話しだ。
「お前、分かってないな?」
「なにが?」
「私たちの手付きと分かれば、他の物も手を出したがる」
「?」
桃色の話しによると、一匹が人間と仲良くなったり、致したりすると他の妖怪も手を出しやすくなるのだそうだ。
最近の妖怪騒ぎはその所為らしい。
「けど…」
米がなければ、今日の昼飯もない。
「……わかった、あいつと行け」
「あいつ?」
「たかや――灰色の髪の奴がいただろう」
「あぁ、彼か…」
そして冒頭に戻るのであった。
米屋まではまだかかる。この空気をなんとかしたいのだがこの男とどう打ち解けろと言うのだろう?
「ぁっ、な…ぃゃ…」
「……俺と二人で悪かったな」
「え」
「あいつに会いに来たのに、禄に話しもしていないだろう?今日みたいな、見知らぬ俺がいない日の方があいつと話しやすかったろうに…」
桃色は分かっていて俺にこの男を付けた気がする。
意地が悪いというか、面白そうだから二人にしてみたとか抜かすのだろう。
「そ、んな…こと、ない」
「?」
「あいつ、とは、昔からの知り合いで、だから、今更話すことはない」
「そうなのか?」
羨ましそうに見ていたのではないのか?
「それよりも、お前と話したかった」
「え――――っ!」
ドンッッ!!!
でかい衝撃音が鳴り、気づけば林の中で、螢夜は手は太い木と灰色に挟まれ動きがとれなくなった。
「はっ、何を…んっぁ…」
「とても赤い」
手の甲でさらりと胸を撫で上げ指先で挟みつ、つ、立たせるよう動かし乳輪をくるくる撫で回した。
「っ、はっ、くすぐっ、たぃ…」
「螢夜は、くすぐったいと、喘ぐのか?」
「喘いで、なっ…」
「そうか。では喘いで貰う」
灰色は言うと螢夜の胸に顔を寄せ、乳首をちゅっと吸った。ぴくん、身体が震えたのを確認してちゅっちゅとそれを繰り返す。
「はっ、ゃめっ」
「んちゅっ、ちゅ、ふ…」
「やっ、は、んぅ…」
左右の乳首に吸い付かれ、じんじんとそこが痺れてくる。
身を捩るが口が離れることはなく、咎めるようにぢゅっと強く吸い付かれた。
「あっ!ぁんんっ…」
歯が唇が乳首をしっかり挟み、ざらざらの舌が先端を舐めたり尖らせつつき、もどかしさに涙が滲んだ。
足に力が、入らない…
震える身体になす統べなくしゃがみ込もうとした。すると、灰色が足を曲げ膝が股に食い込んだ。
「っ、っあ!」
「座るな」
「―――っ!」
すっと見上げてきた目は雄の色をしていた。
弱気で優しい灰色の日頃とかけ離れたその色香にぞくりと電流が脳天を駆け抜けた。
「乳首がつんと尖って、俺に触られたいと言っているみたいだな」
「ぁっ、ぁっ…」
何をされている訳でもない。ただ雄の目で見られているだけなのに上擦った声がひっきりなしに出て止められずにいた。
力強い雄となった灰色は、桃色や黄色と違い無理やり欲を引き出してくる感覚がまた良いと身体が疼いた。
あの二人は意識を溶かされるが、灰色は全てを奪い取られるようだ…
「舌、出せよ。頭でイかせてやるから」
逆らえそうにない強い言葉に恐る恐る舌を伸ばせば、もっと伸ばせとばかりに先を噛まれ引っ張り出される。びくりと驚いて引っ込もうとする舌を根元まできつく吸われ灰色のそれが絡まって逃げるのを許さなかった。
「ぁ、ぅぅ…ふっ…」
たらたらり、口端から零れた唾液が顎を伝い糸となり螢夜の身体に落ち小さな川を作っていく。
「んぅ…ん…ぁ、ァぅん…」
酸素を奪われ尽くし顔が赤くなり、くたりと力なく灰色に身を預けた所で漸く口を離された。
「ぁ…はァ……」
「淫らだな」
「は……は……」
熱に犯され考えることを放棄した頭、だらりと垂れる舌、そこいらの女など比ではない程に色気を垂れ流し螢夜は男を誘っているように見える。
本人の意思ではないのがまた、堪らなくよい。熱が回り唇を舐める。
「最後までするか?」
「ぁっ…」
尻を鷲掴み囁くと、身体の脇でだらりと垂れていた腕が灰色の身体にゆっくりと巻きついた。
「はぁ…あなたので、ゆかせて…」
「っ、くそ!」
「あっ!ぁぁんっ!」
ばっと身を離され、螢夜を反転させると背中を抑え突き出た孔に自らのものをねじ込んだ。
ぎちぎちの入口と違い、中は熱くうねり灰色のものに絡みつくようだった。
「っ、なん、だよ…これ…」
「ぁ、ぁんっ!あんっ!あぁっ…!」
良すぎる中に我も忘れてがつんがつん深くまで突き上げた。その度にぎゅうぎゅう締め付けて逃がすまいとしてくる。
最早どちらともが行為の虜になっていた。
「もっと、激し…く…」
「あ?そうか。おらっ、これで、満足かっ?」
腰を持ち、がつがつばちゅばちゅ力強く打ち付けられ身体が激しく揺さぶられる。
「あっ!はぅ!ぁっあっ!はげしっ――あっ、あっ!」
「お望み通りっ、だろっ」
「あっんんぅ…あっあぁっ…!」
太い木に爪を立て、縋りつく螢夜。それ程までに灰色との行為は荒々しくまるで獣の如く続いた。
頭が真っ白になり、言葉を発しているのかすら分からない。
只々喘ぎ、縋る。だけに思えた……
「そこ、気に入ったみたいだなっ」
「ぁっ、あっ、ゃっんん…んあっ…なぁ、にっ?」
「あ?分かって、ねぇのか?」
がつがつ突かれる中で聞こえたそれに涙ながら振り返ると、汗を流す灰色が雄の目で見ており、ずっとこの目だった…と背筋をぞくりと快感が駆け抜ける。
「ふってぇ木に、乳首擦り付けてんだよ」
「あぁっ――!」
擦り上がるほど強く腰を打ち付けられ、ずりりっ!木に擦れ螢夜は果ててしまった。
無意識に胸を当てがい、そこからも快感を得ようとしていたのだ。
「ぁっ!ぁーっ、出した、ばか、りぃ…ぁああ!」
螢夜が果てたのもお構いなしに最奥を広げられる深く強い腰使い。弱まることのないそれにやはり、人間でない体力に妖怪であることを思い知らされた。
「ざらざらの木の皮に擦り付けて、乳首が真っ赤に尖ってんだろうな」
「ぁあっ!ゃだっ、言わな…ぁ!」
「自分で、やってたんだろ!」
「―――ぁぅぅ」
ずろろ…入口まで引き抜かれたかと思えば一気に奥まで突かれ、ぱんっと尻で音が鳴るほど根元まで打ち込められそのまま流れ込んできた熱い熱い灰色の体液。
「ひぁぁあああ!!」
びくびくびくっ!陸に上げられた魚のように痙攣し、螢夜も二度目の白濁を木にかけた。
「ぁっ…ぁ…ぁんっ…」
びくびく震える身体を後ろから抱かれ、呼吸とも喘ぎともわからないそれを灰色にまた奪われた。
口付けをされながら、未だ入れられたままのものが浅く出入りを繰り返し、痙攣する孔も堪能する。
「ぅん、んん…んふぅ…ぅ…」
口付けが止んだ頃には、螢夜の体力は残っていなかった。
××××
「……、…」
ゆるり、目を開けると優しい揺れが感じられ、横には灰色の髪があった。
おんぶされていたのだと気づく。
「……ぁ…」
「ん?目、覚めたのか?」
「ぁっ…うん…」
雄のままの口調に先の行為を思い出してしまい、肩に顔を押し付けた。
すると、気づいていないらしい灰色は「また、寝るのか?」と螢夜に訪ねた。最も、その返事は出来そうになかったのだが……
(そうだ!米!)
(安心しろ。買ってある)
(!)
(螢夜…その、なんだ?また、俺と…)
(……ぐー)
(寝たの、か…?残念だ…)
((当分、灰色にも近づけない…))
姿を見ただけでも身体が疼きそうだと螢夜は思っていた。
(ん?なんだお前ら、歩けないほどしたのか?)
((!))
(図星か)
螢夜はその後、桃色と灰色の飯を3日間作らなかったと言う……
(なんで俺まで!!)
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