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市川先生×夏樹(第2話)
(まったく……なんで俺がそんな変態教師のためにケーキなんか)
一週間前の市川とのやり取りを振り返ってみる――
「九月九日は俺の誕生日なんだよ。というわけで夏樹、ケーキ作ってくれ」
「はあっ? なんで俺が。ケーキなんて買ってくればいいじゃないですか」
「それじゃあ味がないじゃないか。俺は夏樹のお手製ケーキが食べたいの」
「……俺のケーキじゃなくても、ちゃんと味はあると思いますがね」
「おっ、さすが夏樹。上手いこと言うね~。やっぱ賢いヤツは発言も違うな」
「褒めたって何も出ませんよ。だいたい俺、料理なんてほとんどやったことないし」
「え、そうなのか? 今時、料理スキルがない男ってのはどうなのかねぇ?」
「……むっ。そういう先生は料理できるんですか?」
「当たり前だろ。俺、一人暮らしだし。結構マメに自炊するんだぞ?」
「……ホントですか?」
「ホントだって。なんなら、今夜うちに来る?」
疑いながら自宅に乗り込んだら、思った以上に豪華な手料理を振る舞われて、夏樹は面食らった。
料理と言ってもパスタ程度だろうと思っていたのに、手ごねハンバーグやマカロニスープ、サラダ……食後にはデザートのプリンまで出されて、いろんな意味で衝撃を受けてしまった。しかもどれもかなり美味しかった。
(うう……なんかすごく負けた気がする……)
筋肉馬鹿の変態教師のくせに。
普段いかがわしいことばかり考えているエロ教師のくせに、料理をする能力があるなんて反則だ。悔しい。
「わかりました。ケーキ作ってきます」
気づいたら、そんなことを口にしていた。
市川に料理ができて自分にできないわけがない。この変態教師がびっくりするくらいのすごいケーキを作って、見返してやろう。
「おっ、マジで? サンキュー! 楽しみにしてるからな!」
市川は嬉しそうにお手製のプリンを口に入れた。
――ということがあったのだが……。
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