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市川先生×夏樹(第10話*)
「なあ、ちょっとこれ使ってみようぜ?」
「はっ……?」
そう言って市川が持ってきたのは、ケーキが入った箱だった。一応、二人でも食べきれるように小さめのホールケーキを買ってある。
「? 使うってどういうことですか? 後で食べるんでしょ?」
意味がわからず首をかしげると、市川は箱を開けてケーキを取り出し、指先に生クリームを纏わせた。
そしてそれを、遠慮なく夏樹の下腹部に塗りたくっていく。
「なっ! ちょ、やだっ! 先生、何してるんですか!」
「今日だけ、今日だけな。一度でいいからやらせてくれ」
「や、やるって何を……!?」
「生クリームプレイ」
「はあぁぁッ!?」
変態プレイに慣れている夏樹でも、さすがに声が裏返った。
夏樹は縛られた両腕を前に振り、市川の手を押さえようとした。
「冗談でしょ!? 食べ物で遊んじゃいけませんって、教わらなかったんですかっ!?」
「どうだったかなあ。二十七歳にもなると、物忘れが激しくなっちゃってさ」
「そ、そんな馬鹿な……あ、だめぇ……!」
股間の淡い若草にまで、べっとり生クリームを塗られてしまう。
食べ物を小道具に使っていることもそうだが、自分がケーキ代わりにデコレーションされていくみたいで、かなりの心理的抵抗を覚えた。これなら、赤い縄跳びでいやらしく縛られた方がまだマシだったかもしれない。
「先生、もういい加減にして……!」
「とか言ってるけど、お前かなり興奮してないか? 肌、すごく熱くなってるし、ここもビンビンになっちゃってるしさ」
ピン、と屹立を弾かれ、反射的に背筋がぞくぞくした。甘い香りと官能的な匂いが混ざり合い、奇妙な催淫効果を生み出す。
「口では嫌がってみせても、なんだかんだでお前もこういうプレイ好きだろ? 毎回、すごくいい反応してくれるもんな」
「ち、違っ……!」
「可愛いよ、夏樹」
軽く唇を吸われ、反論の言葉を奪われた。生クリームのような甘い味がした。
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