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夕side
「柚子さん、おはよう」
朝起きると、柚子さんが昨日買った食パンを焼いてくれていた。ほんのり香ばしい匂いがする。
カーテンを開け光を部屋に入れると、いつもより明るく感じた。気分が良いからかもしれない。
「おはよう」
ふぁ、と欠伸をしながら、レタスをちぎってサラダの用意をしてくれている柚子さんの元へ行き、後ろから抱きしめる。
寝起きの柚子さんも良い匂いだ。
「柚子さん、後ろ寝癖ついてる」
「え、うそ」
「本当。横も、少しだけ跳ねてる。あとで俺がなおしてあげるね」
「自分でやるからいいよ」
「俺がやりたい」
お腹を回した手に少し力を込め、うなじに軽くキスをすると、振り返って頭を叩かれた。
ちょっとだけ怒った顔をしている柚子さんにいつも通りだと安心し、構わず頬を擦り寄せる。
「大丈夫だって。さすがにここにキスマークは付けないからさ」
「別に、それを、意識したわけじゃあないし!」
嘘だと分かるくらい動揺している柚子さんの手に自分の手を重ね、一緒にレタスをちぎった。器に盛り付けた後、並んで手を洗い、かけてあったタオルで柚子さんの手を拭く。
「……橘くんも寝癖あるよ」
「え?」
「ここ、跳ねてる」
「じゃあ後で柚子さんがなおして」
俺はそう言って、柚子さんの口を塞いだ。朝からこんなに可愛く見つめられたら、幸せでおかしくなりそう。
柚子さんの家に泊まる回数を増やそうかな。部屋の中も柚子さんの匂いがするのは、ちょっとテンション上がる。ベッドとか特に良い。
それに柚子さんも自分の家のほうがのんびりできるだろうし。
唇を離して笑いかけると、今度は柚子さんからキスしてくれた。昨日、ちゃんと気持ちをぶつけ合って、柚子さんが素直になってくれている気がする。
まだぎこちなさは残るけれど、柚子さんからの不意打ちのキスも増えていくと嬉しいな。
「柚子さん、もっかいキスしよ」
「……うん、」
小さく頷いた柚子さんが、ゆっくりと目を閉じてくれた。表情が優しく穏やかで、いつまでも見つめていたい気分になる。
「可愛いね」
俺はその柔らかな唇にそっと自分のを重ねた。
啄むようなキスを繰り返し、柚子さんが少し口を開いた隙に舌を滑り込ませる。呼吸が徐々に荒くなり、柚子さんは俺の背中に手を回すと服を握りしめた。
「……ふ、」
いつもより力が抜けていて、感度が良い気がする。
「ゆず……さ……ん」
「ふぁ、」
俺は背中に回していた手を下にずらし、腰を撫でるようにして触れた。それから服の裾を捲り、直に背中に触れる。
指先で背骨をなぞると、柚子さんが少しふらついた。抱き止めつつ、調子に乗ってズボンの中へと手を動かす。
ほど良い筋肉で、柔らかく触り心地の良い柚子さんのお尻をパンツ越しに揉んだ。
「可愛い……った!」
さっきまで触れられてふらついていたくせに、柚子さんは俺の足を踵で踏みつけた。思わず手を離すと、くすくす笑われる。
柚子さんだって少し興奮していたと思うけれど、「学校あるから朝ご飯食べよう」と言い、盛り付け終えたお皿を手に取るとテーブルに運び始めた。
起床後のいちゃつきタイムは即終了。でもこうして朝から触れたのは初めてだったけれど、授業がなければそのまま続けていて良かったってこと?
それなら今度から毎回やろうかな、なんて勝手なことを考えながら、俺も残りのお皿をテーブルに運んだ。
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