俺は暫く颯斗が出て行ったドアを見つめてそれから気持ちを落ち着かせようと剥がれかけた両指を眺めていた。 雅が何をされて俺が雅と交代するようになったのか分かるはずだ。 指を見て思い出せ烈。 何をされて来たんだ雅や俺は忘れては無いはずじゃないか！ 痛みを伴う暴力は俺が代わりに受けて性的なのは零が受けていだだろ？ 環境は安全になって来ているが雅は何かあれば受けて来た行為を思い出しそうになる。 旦那様と主治医が奥深くに沈めた記憶が蘇ろうとしている。 あの部屋から出たからか？ 学校に行ったからか？ 雅が記憶を甦らそうとしているのは確かで原因が掴めるまでは俺が代わりに雅として生活をするしかない。 それにこの怪我を雅が耐えれるとは思えないから治るまでは絶対に雅に代われない。 颯斗への湧き上がる感情は押し殺せ烈！ １人でも平気になるんだ。 甘えるんじゃない！ それが出来なくなれば俺は消えてしまうかもしれないんだ。