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主治医
それから暫くして颯斗が主治医を連れてリビングへと戻って来た。
「やあっ、久しぶりだね。烈君。」
「うん。久しぶり。」
「相変わらず僕には冷たいなぁ〜。けどそれが烈君の可愛さなんだけどね。」
「その軽い口調は何とかならないのかよ。ウザいっ!」
「烈君とも仲良くしたんだけれどダメかな?」
「俺はあんたみたいな奴は嫌いだから仲良くしたかったら雅か零とでも仲良くしろよ。」
俺はこの軽い感じの口調で馴れ馴れしく話しかけてくる主治医が大っ嫌いだ。
何歳だったか?
確か32歳の独身。
名前は何だったかな?
「谷本(たにもと)先生。」
「颯斗君、申し訳ない。ちゃんと診察するから怖い顔はやめて欲しい。」
「お願いします。」
谷本だ。
谷本賢一(けんいち)だ。
本当に軽い感じがイライラすんだよ。
雅と零は感じの良い人に思ってるみたいだけれど俺は違う。
谷本の愛想笑いも嫌いだ。
心の奥底から楽しいから笑ってるとかじゃない気がする。
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