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ドキドキが止まらない
「で、雅君に何が起きたのかな?」
「記憶が蘇りそうになった。」
「そっか、それで烈君が変わったんだね。」
「パニック起こして椅子から倒れ込むように床に叩きつけられ逃げたいけれど椅子に足が挟まり逃げれなくて絨毯を雅は力一杯に引っ掻いたんだ。」
「パニック・・・。今は落ち着いたのかな雅君。」
皆んなは雅の心配をするんだ。
俺もだけれど誰1人として俺の心配なんてした事なんてない。
雅は落ち着いたに決まっている。
そのために俺が代わりに出て来たんだから落ち着かない訳がないんだ。
医者のくせにその位分かるだろうとは思うが可愛らしくない俺の心配より可愛い雅の心配をするのは医者も同じだよな・・・・。
「烈は大丈夫なのか?」
「えっ?」
「烈は、大丈夫だとか言うけどそんな顔してない。」
黙って向かいのソファに座っていた颯斗が俺を見ながら難しい顔をして聞いてきた。
誰も心配なんてしないと思っていた。
颯斗は俺にも雅にも優しい。
「大丈夫だよ。平気。」
「無理はするなよ。」
「うん。」
いつも乱暴な口調になるが今日の俺は颯斗の前で大人しくなってしまう。
颯斗と話すとドキドキが止まらない。
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