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逆らえない

「烈君は笑える様になったんだね。良かった。僕は帰ります。」 谷本は颯斗に頭を下げると部屋から出て行った。 笑える様に? 俺は今まで笑っていなかったのか? よく考えると谷本が言う様に俺は周りを寄せ付けない様にしていたから雅と零みたいに笑うと言う事が必要なかった。 零の笑いはまた違う意味がある男達を虜にして酷いことをされない様にする為だ。 「烈、今日は俺の部屋で寝ろ。」 「うん・・・えっ!」 返事をしたが颯斗はどうして同じ部屋で寝ろと言うんだ? 雅が心配なのか? 「お前、痛くても我慢して薬飲まないだろ?」 「いいよ。自分の部屋で寝る。うわっ!」 「言う事を聞け烈。」 雅を心配してるんじゃなくて俺の事を気にかけてくれている。 俺は素直じゃないから颯斗は分かっていて強引に俺をお姫様抱っこすると歩き出した。 もうダメだ。 颯斗の顔が近いし俺の心臓がドキドキと激しく脈打って颯斗に聞こえないかとビクビクしてしまう。 なんだよこれ? 俺らしくないのは分かってるけれど颯斗の前だと強気に出れない。 身体の力が抜ける様にされるがままになる。 ヤバイよ!

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