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涙なんて

颯斗は俺の身体を起こして座らせると驚いた顔をして俺を見ていた。 だよな・・・こんな姿を見られたくなかった。 目が熱くなり何かが目からこぼれ落ちたのが分かったがそれが何かとか理解するのに数秒掛かった。 俺が泣くなんてありえないよ。 「烈、すまない。」 颯斗が謝るのはきっと俺のこの状態を見たからだと思うけれど謝られたら余計に辛くて涙が零れ落ちてくる。 涙なんて知らない。 早くいつもの傷つかない俺に戻らないと! 焦れば焦るほどに涙はどんどん流れ出して声を出して泣き始めてしまった。 早く止まれよ! 俺はどうして雅と代わったんだよ。 痛みや苦しみが分からないから雅と代われてたんじゃないかよ。 これじゃあ、雅を守れない。 「泣くな、烈。」 どうして颯斗も悲しそうな顔をしてるの? 俺のためにそんな顔してくれるの? いろんな感情が湧き上がってきて涙も同じ位に溢れ零れ落ちる。 気付くと颯斗の腕が優しく俺を包み込む様に抱きしめたかと思うと颯斗の唇が俺の唇に触れた。 俺は何も考えれなくなってただ暖かな颯斗の温もりを唇で感じていた。

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