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側に

颯斗が急に俺を強く抱きしめて辛そうな声で言ったんだ。 「消えるな烈。ずっと側にいろよ。」 その言葉に俺の胸は締め付けられた。 俺が消えてしまう時がいつか必ずあるからそうしたら颯斗を苦しめてしまうそれを分かっていて俺も好きだと言った。 でも颯斗の今の言葉に思い知らされて俺は苦しむ颯斗を見たくはないと思った。 「颯斗、俺は消えたくないよ。ずっと側にいたい。でも俺はいつか消えちまうんだ。ごめんな颯斗・・・ごめんなさい。」 「分かってるんだ烈。でもお前を好きになってしまった。だから烈が永く俺の側にいれたらと・・・烈、困らせてすまない。」 「謝んないでくれよ。俺は颯斗を好きになって後悔してないからだから・・・。」 もう言葉だけでは気持ちを閉じ込めておけなくて俺は自ら颯斗の唇に自分の唇を重ねた。 掴んでしまった手を離す事はもう颯斗も俺も出来ないんだ。 それは颯斗の唇からも伝わって来ていた。

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