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雅になれる?
学校でバレない様に微かに残る雅の記憶を辿りながら俺は車の中で雅になりきる様に頑張っていた。
「おはよう、凛君。」
なんか違う気がするしさっきから隣で颯斗が笑いをこらえている様に見える。
やっぱり俺が雅になりすますのは無理な話か?
元は雅なんだからでも俺は自分の考えや行動をするから全く違うのか?
「なぁ〜。やっぱり雅になれないかな俺。」
「そうだな、俺は烈だと知ってるから周りがどう感じるかじゃ無いか?」
「顔、笑ってんだけど颯斗。」
「あまりに可愛いからニヤけてんだよ。」
「雅が?」
「何言っんだ?雅になる練習をしてる烈がだ。俺は烈しか見ていない。だから俺のそばから離れるなよ。」
颯斗はそう言って俺の腕を掴み包み込む様に抱きしめて額にキスを落とした。
本当に幸せでずっとこのままなら良いのにと思うと胸が苦しくなる。
「颯斗、好き。」
「分かってる。俺も烈が好きだ。」
颯斗の腕の中で俺は目を閉じて何も考えない様にした。
だって悪い方ばかり考えてしまうから今は颯斗の温もりと優しさに触れていたい。
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