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おはよう
颯斗に迷惑をかけない様にしないとダメだ。
きっと教室に行ったらクラスの奴らからも冷たい視線を向けられる。
雅に戻る前になんとかしないと筆箱の中身が失くなるだけじゃ済まなくなる。
俺は横に並んで歩けと言われていたが颯斗の言うことを聞かずに一歩後ろからついて教室まで向かった。
颯斗は怒っていたかもしれないのに優しく言ってくれたのに俺は何故か今は素直になれなかった。
周りの視線でイライラとしていたからだ。
教室まで行く途中も突き刺さる視線でイライラが爆発しそうだったが俺は雅だから暴言は吐けない。
イライラとしながら教室に入ると颯斗は入り口で俺の頭を軽く触ると誰にも見えない様に笑いかけてくれた。
颯斗はこんな時でも俺に優しくしてくれる。
イライラとしていたのが少し消えてなくなり俺は颯斗に笑いかけていた。
「おっはよぉ〜。雅!!」
えっと・・・こんなに明るい奴だったか?
「どうしたの?あっ、西園寺君もおはよう。」
「おはよう。雅を頼むな凛。」
「へっ?えっ?あっ、うん!」
凛と呼ばれて顔を真っ赤にして嬉しそうに笑う凛を見るのがイヤだ。
颯斗にそんな顔をしていいのは俺だけなんだ。
俺は思わず凛の腕を掴もうとして強く凛の腕に指先が当たり激痛で我に返った。
俺は何をしようとした?
雅がこんな感情的になるはず無いんだ。
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