「笑って誤魔化そうとしてるの？爪が剥がれるとか痛み止めを服用しても痛いんじゃないの？」 何をしたら分かって貰えるんだよ。 いつもの俺なら触るなとか言って暴言を吐いて突き飛ばして終わりだけれど雅だからそれも出来ない。 「本当に大丈夫だから止めてよ凛君。」 カチャカチャ。 俺の話なんて聞きゃしない。 コイツこんなに強情だったのか？ 俺は無理に抵抗せずに弱々しく雅みたいに抵抗しているが内心では颯斗以外に触れられたくない。 そう思うと自然に目に涙が溜まり出して一粒だけ凛の手に零れ落ちた。 それに気づいた凛の手の動きが止まった。 「雅、あの・・ごめんね。泣かないで何もしないよ。」 「泣いて・・・あれっ？」 俺でも気づいていなかった。 一粒だけだと思っていたのにポロポロと頬を伝う大粒の涙が凛の手に沢山落ちていた。