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騒ぐな暴れんな
凛が出て行ってトイレに2人っきりになると颯斗は俺を抱きしめてから個室へと入り鍵を閉めた。
「何をしてるだよ。見た時心臓が止まりそうだった。大丈夫なのか?もう泣くな烈。」
「ウヴッ・・颯斗、颯斗。ごめんな颯斗。」
「大丈夫だから烈。」
雅でも無いのにこんなに恐怖を感じて颯斗に縋るように抱きついて名前を呼びながら泣き続けるなんて俺は少しずつ変わってるんだ。
でも颯斗以外に触られそうになったり颯斗にあんな所を見られて俺は何も考えれなくて泣くしかできなかった。
颯斗は泣き止むまで優しく抱きしめてくれていた。
「泣き止んだか?なら、保健室行くぞ烈。」
「でも、大丈夫だから教室に戻るよ。」
「そんな涙目で戻すわけないだろ?お前がどんなに可愛いか分かってんのか?」
可愛い?
雅じゃなくて俺がこの俺が可愛い。
颯斗はずっと俺を可愛いとか言うけれど俺には理解ができなかった。
雅の真似をしていたら可愛いとか言われても分かる気がするが颯斗は俺を雅ではなく俺として見てるのに可愛いとか本当に理解が出来ない。
「仕方ない。」
「うわっ!降ろせよ颯斗!」
「暴れんな騒ぐな烈。」
「えっと・・・はい。」
痺れを切らしたのか颯斗は俺をお姫様抱っこしたんだ。
騒ぐなとか颯斗に命令口調で言われた俺は逆らえずにおとなしくそのまま保健室へと運ばれた。
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