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寝かされて

「失礼します。」 颯斗が僕を抱えたまま器用にドアを開けて中に入ると保健室の先生が慌て駆け寄ってきた。 長身でモデルの様な体格に切れ長の目は一見キツく見えるが顔立ちが整っているので中性的な感じがする。 男性か女性かと顔だけ見て聞かれたら考え込んでしまいそうだ。 けれど発した声は男性のものだった。 「西園寺君、どうしたのですか?彼は?」 「昨日、転入して来た。香椎雅。」 「彼が香椎君。噂は聞いてますよ。噂以上に可愛らしいですね。西園寺君が構いたくなるのも分かる気がします。」 先生はニッコリと笑って俺に触れようとして来たが颯斗が触られる寸前で先生から俺を遠ざけた。 「具合が悪いからベッドに寝かせたいんですが先生。」 「そっ、そうだね。窓際のベッドが空いてるよ。」 「他に誰かいるんですか?」 「熱を出した子がいるんだ。」 先生は人差し指を口の前に持って来て静かにと言うジェスチャーをした。 騒ぐつもりはないが先生が余計なことをしなければ颯斗は大人しく俺をベッドへ寝かせたはずだ。 「暫く居ていいですか?」 「西園寺君が静かにするなら良いよ。」 「はい。ありがとうございます。」 俺をベッドへ寝かせると颯斗は近くにあるパイプイスを持って来てベッドの横に座って俺の頬を優しく撫でた。 会話はないが颯斗が何を言いたいか少し伝わってくる。 俺は頬を撫でている颯斗の手を握るとゆっくりと目を閉じた。

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