93 / 171
やっと見つけた
ドアから出ると外は良い天気で陽の光が眩しくて俺は少し目を細めた。
体育館倉庫?
目の前には校舎が見えていて俺は少しずつ歩き出した。
アイツらこんな所で俺に何かしようとしてたのかよ。
「久しぶりだね。烈。」
「えっ?」
背後から俺の名前を呼ぶ奴がいる。
ビックリして俺は思わず声を上げてしまったけれど誤魔化さなきゃいけない。
俺は振り返り声の持ち主に言い放った。
「僕は樫井雅です。」
「雅ねぇ〜。」
「はい。烈とは誰の事ですか?人違いじゃないですか?僕は急いでるので失礼します。」
歳は20代後半で長身の男性は上品な顔立ちをしていて紳士的な雰囲気だったが目の奥は腐っているような光を放っていた。
俺は今までにない危険を感じてその場から立ち去ろうとしたが腕を掴まれて背後から抱き締められた。
「はなっ、離してください!」
「逃げなくてもいいだろ?やっと見つけ出したんだ。烈を隠してアイツらは何をしたんだ。僕を覚えてないのかい?それとも知らないふりをしているのかい烈。」
「烈も貴方も知らないです。僕は雅です。」
雅と言い張るしかない烈の存在は知られてはいけない学校にいれなくなる。
雅を守るなら烈と言ってしまった方がいいのだろうか?
けれど俺を知っているこの男は誰なんだ?
顔を見ても俺は知らないし雅も零も知らないと思う。
何者なんだ。
ともだちにシェアしよう!