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なんとかするから
「何か食べれそうか?」
あまりにも普通に聞いて来るから俺がビックリしていると琉煌は優しく笑いかけてくれた。
「俺がまたなんとかするから耐えてくれ烈。」
「なんとか?」
「今度は颯斗に・・・巻き込みたくないか?」
俺が颯斗と聞いて不安な顔をしたのに気づいて琉煌は悲しそうな顔をしながら聞いて来た。
いつもなら感情を顔に現すなんてしないのに颯斗と聞くと無理だ。
「颯斗には知られたくない。それにもう颯斗以外に抱かれたから・・・颯斗の側にはいられない。」
「颯斗に抱かれたのか?」
「うん。」
隠しても仕方がないだから俺は琉煌にすべてを打ち明けることにしたんだ。
琉煌は何も言わずただ静かに俺を見下ろして話を聞いていてくれた。
話し終わると優しく頭を撫でて部屋から出て行ってしまった。
「琉煌、泣いていたかも・・・どうして?」
出て行ったドアをボンヤリと眺めていると不意に何かを思い出した。
『雅が消えても俺は雅だけだ。』
『僕も琉煌だけだよ。大好き琉煌。』
それ以上思い出そうとすると頭に激痛が走り暫く動くことが出来なかったがあのやり取りは俺と颯斗と同じだ。
何故、雅が消える?
雅は琉煌を好きなのか?
俺達にはどうして記憶がない?
颯斗の・・ご主人様が何かしたのか?
思い出せない。
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