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覚醒

「うわぁっ!!」 史晃は史晃自身を抑えて床を転げ回っている。 隆史は床を這いつくばって逃げようとしているが足首を掴まれて恐怖で身体を震わせていた。 「すまない・・・烈。」 「烈?何言ってんだよオッさん。俺は滅。お前らのおかげで出られたんだ。礼を言わないといけないんだが汚ねぇ〜物を咥えさせられていたからな違う礼をさせて貰うわ。」 「滅?」 滅は、口の端から流れている血を手の甲で拭い取るとニヤリと笑ったのだ。 だがさっきまでの烈とは思えない程の冷たい目をしていた。 冷たいというか冷酷の方が合うかも知れないと烈を見ながら隆史は思っていた。 「だから、そんな顔すんなよ。それとココから出たいんだけど?」 「そっ、それはダメだ。」 史晃が痛みを堪えながら慌てて言うと滅は掴んでいた隆史の足首を離して史晃に近寄って見下ろした。 ガツッ! 鈍い音がすると史晃の叫ぶ声が部屋中に響き渡り隆史は恐怖でガタガタと身体を震わせた。 「はあっ?ふざけんなよジジィ〜。頭割られたいのか?」 「ヒィッ!」 「嫌ならココから出せ!」 滅は史晃の顔を2、3回踏み付けると床に丸まっている史晃の背中を蹴り上げた。 どうしてこんな事になったんだと隆史は父親が蹴られている光景を見つめながら考えていた。 それは数分前だった。 烈の怒りが膨らみ気を失うと代わりに滅が目を覚まし史晃自身を嚙みちぎりそうな勢いで噛んだのだ。 史晃自身からは血が流れてあまりの痛さにベッドから落ち床を転げ回っていた。 隆史は何が起きたか理解できないまま隆史自身を抜き取られてそのままベッドから突き落とされた。 2人が痛がる姿をベッドの上から滅は腕を組み微笑を浮かべ暫く眺めていた。

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