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頼むよ
「颯斗に任せた方が俺もいいと思う。滅がそうしたいなら颯斗のそばにいて欲しい。」
「俺は!その・・颯斗といるとイラつかないし昔みたいに人を傷付けたいとか思わなくて・・・上手く言えないがそれがどうしてか知りたいんだ。」
俺は何を言ってるんだ?
今まで覚醒して暴れていた俺はこんな気持ちにもならなかったし言い訳みたいな事も嫌いだった。
なのに今の俺は腑抜けになっている。
これじゃあ、まるで烈みたいじゃないか!!
「理由はどうでもいい。ここに居たら叔父さんや隆史さんに何をされるかわからない。滅が嫌がっても連れて帰るつもりでいた。」
「颯斗、父さんや兄さんの事はなんとかする。滅をよろしく頼むよ。」
「わかった。」
颯斗の仕草や言葉一つ一つが俺をドキドキとさせている。
俺をドキドキさせているんじゃなくて烈が颯斗の側にいると感じてドキドキとしているのだろうか?
厄介な感情が芽生えたもんだ。
ドアがノックされ執事が頼んだ飲み物を持って来てテーブルに置くと後ろに居た侍女が服を琉煌に手渡して2人は静かに部屋から出て行った。
「バスローブのままでは帰れないだろうから服を用意させた。烈の制服は処分されてしまったので此方で手配をして明日にでも届ける。」
「分かった。滅のままでは学校は無理だと思うから暫く休ませる。」
「それがいい。」
2人で俺の事を決めていくのが気にくわないが何故だかそれを言う気にもなれなかった。
颯斗が言っている事に従わないといけないとそう思い込んでいたからだ。
それは雅の感情か?
どうして俺は烈と雅の感情に逆らえないんだ。
本当に厄介な雅と烈の感情で俺は昔みたいに人を傷付けて楽しいと思いたいんだ。
思いたいんだよ。
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