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離せよ!
「はっ、離せよ!烈なんているわけないだろう!」
そう言い放つと颯斗は目を大きく見開いたかと思うと悲しみに満ちた表情へと変わっていった。
いつもの俺なら悲しみに満ちた表情なんて見れば喜ぶのに今はそんな気にもなれなかった。
心臓はまだドクンドクンとうるさくなり続けている。
「大丈夫か?」
「琉煌は黙っていろ。それよりあの2人に言っておけ今度俺に何かしたら今日みたいな怪我だけじゃ済まないからな!」
「分かってる滅。」
ドクンドクンした心臓の鼓動が治らなくてイライラとして颯斗ではなく琉煌に八つ当たりをしてしまった。
八つ当たり?
そんな事をして俺が琉煌を気にかけてしまうなんてありえない事だ。
「早く、颯斗の家に行きたい。」
颯斗はゆっくりと掴んだ手を離すと何も言わずに黙って玄関までやって来た。
ドアの外には車が迎えに来ていて少しだけエンジンの音が聞こえて来ている。
この音があれば心臓は静かになるだろうか?
うるさくなり続けてる胸を押さえながらボンヤリと考えていたのだ。
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