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車の中
「れ・・・滅。胸が痛むのか?」
振り返り俺が胸を押さえている様子に颯斗が心配そうな顔をして見てくる。
「痛くないから早く行けよ。」
「分かった。」
「颯斗、何かあったら連絡してくれよ。」
「分かってる。琉煌。叔父さんとお兄さんの方は任せたからな頼む。」
琉煌と話す時は少しだけ表情が違う凛としてカッコよくて目なんてすごく力強いんだよ颯斗。
俺と話す時はどこか悲しげででも俺ではない誰かを見て話をするんだ。
それが嬉しかったりイラついたりする。
「まだかよ。」
「またな琉煌。」
颯斗は笑うと俺には視線も向けず玄関のドアを開けて待っていた車の後部座席に乗り込んだ。
俺は反対側のドアから颯斗の隣に乗り込むとドアが閉められて静かに走り出した。
颯斗は何も言わずに窓の外を眺めていた。
外は暗くて窓に映る颯斗は悲しそうな顔をしてたまに何か懐かしそうな目をするとゆっくりと瞼を閉じた。
俺なんか変だ。
まだ完全な俺じゃないからか?
こんな気持ちは違う!
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