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なみだ?

颯斗は俺が寝ていると思っていて俺を自分の方に引き寄せると力強く抱きしめた。 「ごめん。烈・・・ずっと探してた。俺がそばに居てやれなくてごめん。」 伝わってくる。 颯斗がどれだけ烈を心配してどれだけ烈を愛しているかが伝わって来る。 俺に向けられている感情じゃないのに錯覚してしまいそうになるくらいに伝わる。 「烈、早く戻って来い。俺はまだお前に何もしてやれていない。」 颯斗の身体が少し震えている。 俺は寝たふりをしているのを忘れてしまい思わず颯斗を抱きしめてしまった。 「烈?」 「うるさくて寝れないんだけど?俺は烈じゃない!」 「すまない。」 颯斗は俺の腕を掴んで引き離すとベッドから降りて部屋を出て行ってしまった。 一瞬の出来事に俺はただ呆然と見ているだけで何も考えられなかった。 ポロポロ。 何か目から出て来るんだけどこれは何だ? 胸が張り裂けそうに苦しくて俺が感じた事がないくらいに胸が苦しくて自然と目から溢れ出して来る。 これが涙なのか? こんな感情はいらない! 烈、お願いだから俺に色んな感情を教えるのは止めてくれ! じゃないと俺が存在出来なくなってしまう。 憎しみと狂気に満ちた俺であり続けないとダメなんだ!

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