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琉煌は?
今日から樫井烈として登校するのだが少しだけ緊張している。
「大丈夫か?」
「うん。なんだかドキドキして来た。」
「皆んなには記憶喪失だったとだけ伝えてある。だから樫井烈に名前が戻っても大丈夫だ。ただ面白半分で話しかけて来たり噂されたりするが俺が守るから烈。」
「ありがとう颯斗。」
確かに記憶喪失だったから間違ってはいないけれど色々と複雑な人格もあったからその話をするには監禁されていた話もしないとダメになる。
琉煌とはあの日以来話をしていないが大丈夫なんだろうか?
颯斗に聞いてみたいが助け出されて数日経った時に琉煌の名前を出すと嫌な顔をした。
だからそれから僕は琉煌の事は触れない様にしていた。
「あの颯斗・・・琉煌は・・・・・。」
琉煌の名前を言いながら颯斗を見るとやはり嫌そうな顔をしていた。
これでは聞けないし学校でも琉煌とは話づらい。
「何?琉煌が何かあるのか?」
「えっと、何もないよ。」
「なら、もうこの話は終わりだ。」
「うん。」
それから颯斗は学校に着くまでずっと黙ったままだった。
もう颯斗には琉煌の事は聞かない方が良いと改めて思ったのだ。
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