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まだ寝てなさい
ピィッピィッと電子体温計の音がなった。
「貸しなさい。」
僕は体温計の表示を見ずに先生に渡した。
きっと見て熱があったら気分的に体調が悪くなりそうだから見ないようにしたんだ。
先生は少し難しい表情をしてから僕の方を向いた。
「まだ寝ていなさい。西園寺家には先生から連絡をしておくから迎えが来たら帰るんだ。」
迎え?
帰る?
「僕は大丈夫です!」
「大丈夫?39度あるんだ。大丈夫なわけがないだろう。」
「39度?」
「いいから寝てなさい。もう少しで昼休みだ。西園寺君が来たら早退すると伝えるから良いね。」
39度もあるんなら僕は授業を受けると周りに迷惑をかけてしまう。
僕は先生の言う通りに大人しく寝る事にした。
熱があるのに身体は怠くも熱くもなくて普段の体調と変わらない。
でも頭痛いからやっぱり熱あるのかな?
ぼんやりと考えながらゆっくりと目を閉じるとドアが開いて閉まる音がした。
先生が保健室から出て行ったんだ。
でも保険室には電話があるのに内線だって出来るはずなのに何故先生は保険室から出て行ったのかな?
考えても仕方ない。
迎えが来るまで寝れるかな?
僕は窓の外から聞こえてくる生徒達の声を聞きながらいつのまにか寝てしまっていた。
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