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第22話
物音一つたてなくなった俺を 不思議に思ったのか、五十嵐さんが声をかけてきた。
「すみません大丈夫です、ちょっと目にゴミが…」
慌てて手の甲で涙を拭ったが、アルバムを開いたまま、いかにも泣いてました感のある俺を見て 何か悟ったのか、黙って近づいてくると、俺をそっと抱きしめた。
「???」
「泣きたい時は泣いていいんですよ。」
そう言って、優しく俺の頭を背中を撫で続けた。
言葉にできない感情と、いきなり抱きしめられた驚きとで俺は一瞬 頭が真っ白になったが、子供をあやすような優しい手の動きと、体温の暖かさに、今まで抑えていた思いが堰を切ったように溢れ、彼に縋り付いて泣いてしまった。
そんな俺が落ち着きを取り戻すまで、彼はずっとそのままでいてくれた。
思うに任せて泣いた俺は、この状況にハッと気が付き、
「す、すみませんっ!」と叫び、その暖かな温もりから離れた。
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