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第34話

苦労しながら女手一つで育ててくれたんだが、 孫がかわいいってホントだな….あれだけ堕ろせだのなんだの言ってたじいさんとばあさんがバカみたいにかわいがってくれてさ。 でも、やっぱり母親も女なんだよ。 事情を知っても全て受け入れて、俺達親子共々愛してくれる人が現れてさ、お互いに惚れあって結婚して、産まれたのが瞳。 分け隔てなく育ててもらったな。 ちょっと悪さしたらゲンコツ飛んできたし、引っ叩かれた。涙一杯溜めちゃってさ。 『本物と偽物を見分ける力を持たなきゃダメだ』って、普通子供を連れては行かない高級レストランや、美術館、博物館、美しいと思った場所に よく連れて行ってもらった。 この道を選んだのも、父の影響だと思う。 厳選された最高の食材と、最高の技術で、舌と魂を震わせることができる料理…それを求めてたら、今の店ができた。 だから、クモ膜下で突然逝っちまった時は、心の持って行き場を無くして流石に俺も荒れた。」

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