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第57話
凛を送り届け、買い物も済ませてきた。
そっと俺の部屋のドアを開ける。
智は…俺がベッドに寝かせたまま仰向けの状態で目を開けていた。
「智…」ベッドに近付き跪いてささやく。
「ごめん、痛くないか?動けるか?」
智は、かすれ声で答えた。
「…腰…ケツも痛い…全身痛い…指一本動かない…
喉乾いた。水飲みたい。」
「わかった、すぐ持ってくる!」
脱兎のごとく飛び出して、冷蔵庫からペットボトルの水とストローを持って、慌てて智の元へ。
恭しくストローを差したペットボトルを差し出せば、こくんこくんと喉を鳴らして飲んだ。
「ごめん、お前がかわいすぎて抱き潰した。
止まんなかったんだ、ホントにごめん。
優しくするつもりだったけど…無理だった。
悪かった、ごめん。」
ひたすら謝る俺を下からジト目で睨んでいた智は、かすれ声のまま、
「ホント、酷いよ。俺…初めてだったんだぜ。
こんなになるまで…
でも、そんだけ俺のこと、欲しかったんだろ?」
「当たり前じゃん!
愛して、愛して、愛したかったんだ!
ホントに嬉しくて箍が外れちまった。
ごめん、ごめんな、智」
そっと智の頬に触れ謝り続けた。
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