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第58話
智は首だけ動かして、猫のようにするりと俺の手の平に擦り付いてきた。
「…わかったよ。でも、今度動けないくらいにヤッたら、もうさせねーからな。」
「約束する!智、愛してるー!!」
そんな約束できるわけねーじゃん。
でも、そう言っとかないとな(てへっ)
心の中でペロリと舌を出し、智が動けないのをいいことに、ガバッと抱きついて顔中キスの雨を降らせた。
「わかったから、やめろってば。」
力の入らない手で俺を押し退けようとする智。
あんまりやると嫌われそうだな…
離れがたいけど、最後にリップ音を鳴らして渋々離れた。
おれが朝食の準備をしている間に、智はゼンマイ仕掛けの人形みたいな動きでやっと起き上がり、バスローブを羽織って洗面所に消えた。
うーん、なにやっても色っぺーなー。
ううっ、ヤバい、静まれ俺の息子。
その後二人でテーブルを囲んで食べながら、今朝の凛との会話を話してやった。
智は箸を持ったままフリーズし、頭を抱えた。
「守の奴、何を教えてるんだ…
ていうか、俺達のキスしてるとこを見られたっていうのか?」
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