59 / 516

第59話

マジか…と呟いて、智は天を仰ぐ。 「でもさ、凛、すっげぇ わかってるんだぜ。 俺達に結婚式してほしいってさ。」 智は黙って考え込んでいる。 おい、何悩んでるんだよ。 まさか…なかったことに…なんてことねーよなっ?? 智はフッと息をつくと 「隠しごとはしない。俺はお前を愛してるし、恥じることもしてないし、別れるつもりも毛頭ない。 凛には…俺からもちゃんと話そう。 あいつ、俺達が思うよりずっと大人かもしれない。 両親の死を受け止めて、残された自分の立場もわかってる。 物分かりが良すぎるくらいにな。 あの子には幸せになってもらいたい、いや、幸せにしてやる。 それと 動けるようになったら、明日 指輪買いに行くぞ。」 さーとーしー!お前、俺のヨメのくせに男前っ! 俺はちょっと涙目になって、コクコクと何度も首を振った。 智はそんな俺を見て、口の端を片方だけ上げてニヤリと笑うと、また箸を動かして美味そうに平らげた。

ともだちにシェアしよう!