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第65話
帰って早速、智にお伺いを立てる。
「そうだな…もう休みもないし…
お前、ジュエリーショップに知り合いいるか?」
「はいはい、奥様、お任せ下さい!
常連客のオーナーに、昨日のうちに手配済みでございます。」
「ばーか、なーにが、『奥様』だよ。
じゃあ、凛が帰ってくる前に行くとするか。」
俺はすっかり奥様の尻に敷かれ、下僕のようにふるまう。
行き先は…超有名高級ブランド店。智、ちょっとビビっている。
二人で店内に入ると、
「いらっしゃいませ。お待ちしていましたよ。」
深いバリトンの美声の老紳士が近寄ってきた。
「ああ、松本様、お世話になります。」
「今日はあなたがお客様ですよ、五十嵐様。
ほう、こちらがお相手の…さあ、どうぞこちらへ。」
店の奥の個室へ案内された。
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