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第66話

「お願いしていたものは…」 「はい、いくつか見繕っておりますから。 今お持ちいたしましょう。しばしお待ちを。」 ドアが閉まった瞬間、慌てた様子で智が小声で囁いてくる。 「おい、翔、どーすんだ、こんなとこ来て。すっげー高いとこじゃん。今流行りの海外ブランドものだぜ。」 「大丈夫だよ、心配すんな。うちの常連さんだよ。 俺達の愛の証だからな、飛びっきりのやつ用意するからな。」 ふふんと得意げに宣言すると同時にノックの音が。 「失礼致します。」 ビロードのケースにのった三種類のリングが運ばれてきた。 どれもシンプルで智に似合いそうなものばかりだった。 さすが松本氏、プロだなあ。智の外見や性格を大まかに伝えただけなのに、ぴったりのものを合わせてくる。 智は… サイズを測りましょうと言われ、おたおたしながらそれに応えている。 いつもの冷静沈着な智じゃない。かわいいー! 動画に撮りたいくらいだ。

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