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第71話
side:智
保育所から帰ってきた凛は、鼻歌まで飛び出す終始ご機嫌な翔を不思議に思っていたのか、俺を玄関まで連れて行き、こっそりと
「ねぁ、さとし、しょうってば きもちわるい。
なにかあったの?
きもちわるすぎて、かえりきけなかった。」
「くっくっくっ、気持ち悪いって?
あぁ、多分…今日指輪を作りに行ったんだよ。
それでご機嫌なんじゃないかな?」
「ゆびわ!?すてきー!
ねぇ、ねぇ、できたらみせてね。」
凛は、ふんふんと納得してリビングに戻っていった。
鼻歌まで…わかりやすくて単純な奴だな。
いや、指輪だけじゃないはず。その後の約束が…
あぁ思い出しても恥ずかしい。
真昼間から男二人で愛の告白大会しちまった。
でも、ホントにそうなんだから仕方がない。
俺は、あいつに惹かれて好きになって、一生側にいたいと初めて思った相手だから。
あいつには自分の本音を全て伝えようと思ったから。
それにしてもあんな高い指輪なんて。
愛する人からの束縛の、所有の証。
『嫁は黙って』と言うなら、任せてついていくとするか。
俺もふんふんと頷きながら、うまそうな匂いのするリビングへ戻っていった。
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