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第81話
身体に触れる人の気配で目を開けると、翔が髪の毛を撫でていて、俺の身体を綺麗にしてくれた後だった。
「ん…智、気が付いた?」
「俺、どれだけトンでた?」
「そうだな…1時間くらいかな…
ごめん、また優しくできなかった…」
「俺がしたいようにしろって言ったからさ…
拭いてくれたのか?ありがとう。」
「動けるなら、一緒にシャワー浴びようか?」
凛を起こさないように、翔に抱えられて静かにバスルームへ移動する。
鏡を見てギョッとした。全身…身体のあちこちに赤い点々が無数に散らばっている。
「おい、翔…これ、なんだ?」
翔は、にぱーっと笑みを零してドヤ顔で言い放った。
「俺ものだっていう印。」
大きなため息をついてバスルームに入り、鍵をかけて翔を締め出した。
「えっ?智?んんっ?俺はっ?俺…」
さーとーしぃーーー!!!
駄犬の悲しげな声が響いた。
俺は無視してシャワーのコックを捻り、甘い情事の痕を洗い流した。
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