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第97話

「おい、マズイぞ。俺達も逃げなきゃ。」 「ここまでヤってなに言ってんのよ!」 「あんたバカか?こんなとこで丸焦げなんて、俺達ゴメンだぜ。 おい、動けるか?そいつを抱えて逃げるぞ!」 内輪もめもそこそこに、ビデオを回していた男が二人の男に声をかけた時、部屋にノックの音が響いた。 「火事ですっ!鍵を開けて下さい! 閉まって出れなくなる可能性があります! 急いで!!」 スタッフらしき男性の声に、ビデオの男が弾けるようにドアに向かい鍵を開けた。 カチャリ バァーーーーーン ドスン ドアが開くと同時に男は壁に叩きつけられ頭を打ったらしく、ズルズルと座り込んだ。 「智っ!どこだっ?智ーーっ!」 えっ、その声は……まさか翔? 「しょう?…….翔っ、翔ーーーーーっ!」 「智っ!!!」 転がるようにベッドルームに飛び込んできた翔は、俺に馬乗りになっている男を引き剥がし、数発殴り飛ばした後、横っ腹を蹴り飛ばし、部屋の外へ放り出した。 そして俺の側へ飛んで来て、腫れた顔を見るなり泣きそうな顔になった。 「智っ、ごめん、こんな目に合わせて…ごめん。 怖かっただろう?待ってな、今これ外してやる。」 玄関では翔に続いてバタバタと飛び込んできた男達とあの三人の男達の怒鳴り声と 「麻里香っ、お前なんてことしたんだっ」 「私は悪くないっ!悪いのはあの男よっ!!」 と言い争う声がミックスされて修羅場と化していた。

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