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第106話
俺も汗だくだから一緒にシャワー浴びたいんだ。
その前に薬だけ塗らせてくれないか?
お湯が滲みて痛くなるだろう?」
俺のことを詰りもせず、突き放しもせず、ただひたすらに注がれる愛情の深さに、俺はしゃくりあげて泣いた。
俺は男だから、あんなこと全然平気だと思っていたのに、思う以上の精神的ダメージを負っていたようだ。
翔は、泣き続ける俺にキスをしながら傷付いた手足に薬を塗り、先に自分の着ているものを脱ぎ捨て、俺のボロボロになった服を脱がせ、お互いが生まれたままの姿になった。。
「智、行くぞ。」
また抱っこされてバスルームへ向かうが、洗面所で下ろしてもらい、血が滲むほど思い切り歯を磨く。
気がすむ程に口の中を洗い、翔とシャワーを浴びようとお湯を出した瞬間
「痛っ!」
シャワーのお湯が傷に障り、痛みが全身を貫く。
「智、大丈夫か?」
心配する翔に、「大丈夫」と無言のまま手で合図し、大きく開けた口の中にお湯を含み何度も何度もうがいをした。
ボディソープの泡をこれでもかというくらいフワフワにして痛む傷口にも滑らせて、全身を洗い清めていく。
じっと見ていた翔は、シャンプーを手に取ると俺の頭を洗い始めた。
「翔?」
「痛いのに我慢してんじゃねーぞ。ちょっとは甘えろよ。」
わしゃわしゃと頭を滑る指が気持ちよくて堪らない。
俺自身は、ずっとびくびくと震え、粘りのある汁を流している。
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