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第114話
遮光カーテンの隙間から光が漏れている。
目を覚ました俺は、ぼんやりとその光を見つめていた。
両手首には白い包帯が…
ああ、やっぱり夢じゃなかった。昨日自分の身に起きたことは本当だったんだ。
布団をめくってみると、足首にも包帯が巻いてあった。あの後、手当てしてくれたんだ…身体もキレイになっている。
身体中に広がる赤い斑点と異常な腰の痛みに、なんだかおかしくなって一人笑ってしまった。
翔はどこに行ったんだろう。
腰を抑えつつなんとか起き上がり、バスローブを羽織って翔を探すが何処にもいない。
やっぱり俺のこと嫌になって出て行った…?
心にチクリと痛みが刺した。
なんだか物凄くネガティブな自分がいた。
凹みそうになったところへ、ガチャとドアの開く音がして不意に翔が戻ってきた。
「智、起きれたのか?身体…どうだ?
ごめん、また無茶した。」
申し訳なさそうに謝る翔は、バシッと決めたスーツ姿だった。
「うん、大丈夫。今起きたとこ。お前いないから探してた。
どこか行ってたのか?」
「ああ、警察へな。昨日の落とし前をつけに。
んーっと、どこから話そうか…
そうだ。腹減ってないか?俺もう減りすぎて死にそう。なんか食いながら話そう。」
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