あっという間に、トーストとサラダを添えたハムエッグにコーヒーが用意された。 向き合って食べながら翔が話し出した。 「んー、まず、どうして俺があそこに行けたのかってとこからだよな？ お前が『片岡課長に相談した』って言ってたからさ、信頼できる人なら挨拶しとこうと思って連絡取ったんだ。 そしたら、家に呼んでくれてさ。帰りが遅い日があっただろう？あの日に。 んで、全て話して聞いてもらった。 あの人めっちゃいい人で頭いいよな。 『俺達もそうなんだけど、お互いに何かあった時に家族でないと対処できないことがあるから、その辺はちゃんとしといたほうがいいよ』 って。 パートナーさんも素敵な人だったよ。 で、連絡先交換して帰ってきたんだ。 そしたら、昨日、突然電話がかかってきて、 『相沢君が拉致された』 『警察にもすぐ連絡したんだけど、動画撮ってるからすぐ送る！』って。 あの人さ、みんなが帰っていく時間にぼんやり窓の外を眺めるのが好きで、昨日も見てたんだって。そしたら、お前が連れ去られるのを見つけてびっくりして、すぐ警察と俺に連絡をくれたんだ。 それで俺も、持てる人脈の全て使ってあのホテルを割り出したんだ。