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第117話
翔…お前、一体何者なんだ?
お前の一言で政界のトップクラスの首が挿げ替えられるなんて…
俺はとんでもない男を恋人にしたのかも…
でも、でも…俺は翔を…心から…
俯き黙って画面を見ている俺の頭を翔がそっと撫でた。
「智…俺が怖いか?」
沈んだ声音に見上げた俺と翔の視線がぶつかった。
その目は悲しげに揺れ、俺は胸がギュッと潰されたような痛みを覚えた。
俺は目を逸らさず、ふにゃんと笑って答えた。
「怖くないよ。だって…お前、俺のダンナだろ?
俺達…愛し合ってるんだろ?
一生…俺と凛を守ってくれるんだろ?
その言葉に嘘偽りがないなら、お前が何者でもいいや。
愛してるよ、翔。」
「智…」
俺の唇に近づいてくる翔の口元を両手でブロックすると、
「むぐっ。さーとーしーぃ」
眉毛と口をへの字にした残念なイケメンがそこにいた。
「何度も言うけど…お前キスだけで済まないんだって!
俺、腰砕けちまうだろっ!
ばかっ…」
ちゅっと大きなリップ音を立てて、翔の頬にキスしてやった。
頬を抑えて真っ赤になった翔を無視して、同じく全身真っ赤になった俺は急いで残りの朝食を平らげた。
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