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第121話

俺は自分のことしか考えてなかったかもしれない。 どんな思いで俺を探し、『落とし前』という後始末をしてくれたのか。 俺を助けるために必死で、そしてその後も俺のことを一番に考えてくれて。 叱られた小さな子供のように背中を丸めた翔が、堪らなく愛おしくなった。 俺は翔に近付くと、膝に乗り両手をそっと首に回して、その匂いを胸一杯に吸い込んだ。 「翔、ごめん、言い過ぎた。 俺だけが傷ついたわけじゃないのに。 お前もどんなに傷ついてるのか考えなくてごめん。 凛がいない時は思い切り甘やかしてくれ。あいつがいるとやっぱり恥ずかしいからな。 翔、大好きだよ。」 「智…いいのか?俺、自分でもおかしいと思ってるんだけど、止められない。 こんなの、あの女と同じことしてるんじゃないか…」 「あの女とは違う!翔、お前だからいいんだよ。なあ、早くギュッと抱きしめてくれよ。」 胸元にすりすりと身体を密着させて翔を誘う。 ゴクリと喉を鳴らした翔は、骨が折れるくらいに抱きしめてきた。

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