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第128話

エッチの最中にケンカなんて最悪だ。 普通ケンカの後は仲直りのラブラブエッチだろ。 最中だとどうすればいい? 俺が悪いのか? こんなことで臍を曲げる俺の器が小さいのか? 黙ったまま部屋を出て、ソファーの下に脱ぎ捨てたトレーナーを拾い、そのままバスルームへ向かった。 熱く滾り始めていた俺自身を治めるために、冷たい水を頭から被った。 その冷たさにぶるっと身体が震えたが、構わず浴び続ける。 だんだんと大人しくなるそれを見て、やっと水を止めた。 このままじゃ風邪引いちまうな。せっかくの休みが無駄になっちまう。 慌ててバスタオルで拭き、ドライヤーで髪も乾かす。 身体は冷えたまま、鳥肌が立ち、思わず身震いする。 頭も冷えて怒りも治まったし、なんか温かいものでも飲もう。 あ、翔…翔はどうしてるんだろう… 急に不安になり、そっとドアを開けてリビングを見るが、いない。 翔の部屋…いない。俺の部屋?…いない。 まさか凛の部屋…いるわけないな。 家のどこにも姿がない。 そうだ、玄関…翔の靴がない。どこか出かけたのか? 俺が怒ったから出て行ったのだろうか…

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