どうやって甘やかしてやろうか あいつの食べたい物を山程作って食わしてやらなきゃ キスしまくって…いや、また嫌われたら困る 次々生まれる妄想を楽しみながら家路に着き、リビングのドアを開けると、怯えるような悲しげな瞳の智と目が合った。 瞬間、智を押し倒し思う存分その心も身体も喰らい尽くしたい衝動に襲われたが、必死に耐えて、敢えてポーカーフェイスを繕いながら黙って自室へと向かった。 忸怩(じくじ)たる思いで溢れ出る欲望と闘っていると、ノックの音と 「翔…翔…」 俺を呼ぶ震える声に、心踊る思いを伏せて、ドアを開けた。 泣きそうな智の顔を見ると、抑えていた『智を虐めたいもう一人の俺』がムクムクと顔を出して、高圧的な態度で心と裏腹の言葉を言い放った。 「智…無理矢理して悪かったな。 俺、いろいろ反省したし、しばらくお前の側にいかないことにするよ。 じゃあ。」 智はドアを閉めようとする俺の腕を掴んで引き止めた。 「違う！俺…謝ろうと思って。 お前が仕掛けてきて、ふざけるからムカついて… 連チャンは、その…受ける方は身体の負担が半端でなくって… なのにお前はいつもヤることしか考えてないし… 俺のこと、もっと」 「だから、近付かないって言ってるだろ！」 話の途中で智の手を振り払い、ドアをバタンと閉めてしまった。