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第134話
しばらくして、とすん という音と、程なくしゃくり上げる智の泣き声が聞こえてきた。
うぐっ、ひっく、ひっく
しまった!また泣かせてしまった…
ヤバい、どうしよう。
なんで追い討ちを掛けるように、あんな酷い言葉と態度を取ってしまったんだろう。
抱きしめて「ゴメン」と謝ればよかっただけなのに。
智は自分の思いを伝えに来てくれたのに。
謝らせた挙句に、突き放して泣かせてしまった…
オロオロと考えている間に、泣き声が遠ざかり、ぱたんとドアが閉まる音がした。
俺のバカヤロウ!!!
慌てて智の部屋の前に立つ。泣き声はまだ聞こえている。
音を立てないようそっとドアを開けると、ベッドの上で子猫のように小さく丸まって泣いている智がいた。
「智…」
俺の声にビクッと身震いした智は、そのままの体制で動かない。
ひっく、えぐっ、えぐっ
嗚咽が部屋に響いている。
「意地悪してごめん。俺が悪かった。
イヤだって言うお前を無視してその気にさせて、ふざけまくって、一生懸命思いを伝えに来てくれたお前を突き放して泣かせてしまった。
お前を大切にしたいのに虐めたくて堪らない。
好きな子を虐めるガキンチョみたいだよな。
お前のこと好き過ぎて、感情のコントロールが効かないんだ。
智、ごめん…許してはもらえないよな…」
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